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妊婦加算凍結!なぜ作られた?費用はいくら?妊婦税の裏側を詳しく解説

妊婦加算

妊婦加算が2019年1月に凍結予定となりました!
妊婦加算とは、極端に言えば『妊婦さんが病院を受診したときの割増料金』です。

2018年4月に制定されたばかりなのに、1年足らずで凍結に!

  • なぜ凍結することになったのか?
  • そもそも妊婦加算とはどんなものだったのか?
医療従事者である夫の意見もまじえて、どこよりも詳しく解説していきますね。

妊婦加算とはどんな制度?金額はいくら違うの?

妊婦加算は、2018年の診療報酬(医療の価格)改定で新しく制定された料金制度。

妊婦が医療機関を受診した際に支払う負担額が増える仕組みです。
どんな理由でかかったか、どの診療科にかかったかに関わらず、すべての診察料に上乗せされてしまうんですね……。

実際にどのくらい上がるのかと言うと、以下の通りです。

病院にかかった時間 初診料 再診料
診療時間内 約230円(75点) 約110円(38点)
診療時間外 約350円(115点) 210円(70点)
休日受診 約350円(115点) 210円(70点)
深夜受診 約650円(215点) 510円(170点)

そう、表を見てお分かりかと思いますが、通常の初診料・再診料に上乗せがあるだけではなく、深夜や休日、診療時間外についても上乗せがあるんです。

ちゃみ

私は妊娠中に胎動があまり感じられない日があり、健診日でない深夜にかかりつけ医を受診したのですが……。
ちゃっかり「510円」の金額が上乗せされていました。
これが噂の妊婦税か……! と思いましたね。

定期的に受診している妊婦には大問題ですよね。

妊婦加算はSNSでも議論に……凍結に至るまで

この妊婦加算、制定当初はあまり騒ぎにもなりませんでした。
私も妊娠中だったにも関わらず、まったく知らなかったんですよね(汗)。

それが、2018年の秋ごろ、テレビやSNSで急に話題になりました。
きっかけと思われるTwitterのツイートがこちら。

この前皮膚科行ったらお会計呼ばれて、「あれ、妊娠中ですか?ならお会計変わります」
とか言われて会計高くなったのウケる。
妊婦加算だとさ。
皮膚科何箇所も梯子する予定だったけど辞めたわ。いや逆に安くしろよ馬鹿かよ。
※現在はこのツイートは削除されています。

ちゃみ

妊婦であるかどうかが関係ない皮膚科の受診で、加算が取られるなんて!

これを皮切りに、このような意見が各方面から噴出!

  • 妊婦加算は高い。気軽に妊婦が受診できなくなる。
  • ただでさえ妊娠するとお金がかかるのにさらに大変になる。
  • 妊娠中かどうかに関係のない治療を受けてもお金がかかるのはおかしい!
  • 少子化対策に逆行しているのでは?
  • これは「妊婦税」だ!!!

疑問や問題点が浮き彫りに。
大きな議論を呼び、テレビでも話題となりました。

これを受けて、厚生労働省は中央社会保険医療協議会(中医協)で、2019年1月から当面の間、妊婦加算を凍結することを発表しました。

ちなみに、あくまでも2019年1月からの取り扱い中止ということで、2018年内は妊婦加算継続です。
また凍結ということは、再開する可能性もあるということに注意!

ちゃみ

凍結は「廃止」ではないんですよ……。

参考○妊婦加算の取扱いについて
参考中央社会保険医療協議会 総会(第404回) 議事次第

妊婦加算はママ・パパとしては困る?デメリットとメリットは?

妊婦加算が批判の対象になったということは、デメリットが大きかったから。

その一方で、当初の施行時には患者側にもメリットがある、として発表されています。

ちゃみ

負担が増えるのに、メリットがある?

妊婦加算のデメリットとメリットとは?
これらの点についても見ていくことにしましょう。

妊婦加算のデメリット。追加金額が多く家計が苦しくなる

妊娠中のママ・パパにとって、この「実質値上げ」は非常に苦しいものですよね。
私も2018年4月以降の受診がたくさんあったので、かなりの額を支払っています。

日中一回の受診ではそう高くない金額かもしれません。
ですが、私の場合のように夜間の受診が必要だったり(日中胎動があまり感じられなくて、深夜にかかりつけ医に受診しました)すると割増度は高いです。

定期的な受診が必要な疾患をお持ちの方は、毎回それもかかってくるのでチリも積もれば山となる状態。

妊婦さんの場合、体の変化がいつ来るかわからないこともあって、夜や休日に受診することも多いでしょう。

ちゃみ

まだ我慢できるから朝まで待とう、なんてできませんよね。

実は……妊婦さんに限らず昔から乳幼児や幼児の初診・再診にも加算があるんです。
が、妊婦さんと違って小児医療費助成制度があるため患者の支払いはだいたいゼロ。
だから加算があっても安心して受診可能でした。

でも全ての妊婦さんが対象になるような助成制度は、残念ながらありません。
加算がお財布にダメージを与えてくるのはこのせいなのです。

場合によっては妊婦健診にも加算が乗っかってくるので、それもキツイ!

ここで、こちらのポスターに注目。
ポスターには『通常の妊婦健診だけの場合は、「妊婦加算」の対象にはなりません』とあります。

妊婦加算ポスター

参考【通知】妊婦加算通知案(都道府県等)181102

でも、通常かそうでないかの判断は基本的に医療機関に任されるんです。
妊婦健診以外で妊婦加算を取るか取らないかの判断も同様です。

記述だけ見ると、妊娠している患者はどんな治療をしても加算を取られるようにも読めますよね。
コンタクトレンズ処方でも加算の対象にされたという事情はその辺りが原因です。

本当の危険は値上げより受診控え

負担が増えることだけでも家庭の中では大きな問題。
ですが、もっと危険なことは「受診控え」をしてしまうことだと考えます。

値段が高くなるということで、次のように考える人もいるでしょう。

ちょっと風邪っぽい、ちょっと調子悪いけど我慢しよう……
ですが、妊娠中の違和感や初期症状を見逃さないことが赤ちゃんの元気な誕生のためには大事なこと。
これもまた私事で恐縮ですが、切迫流産・切迫早産の入院のきっかけは小さな違和感からでした。

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ちゃみ

もしも加算を気にして受診していなかったら、大切な娘が無事に生まれて来れなかったかも、と思うとぞっとします……。
妊婦加算の一番恐ろしいデメリットは、ちょっとした症状が出たときに受診をためらってしまう可能性が増すことにあるのではないでしょうか。

お金の節約のために赤ちゃんが危ない目にあってしまうことがないよう、読者の皆様にはお願い申し上げますね。

なぜ妊婦加算が作られた?メリットとして想定されたもの……理想と現実

それでは、妊婦加算は本来どんなメリットを考慮して作られたのかを解説していきます。

病院が妊婦さんに優しくなる

想定されたメリットのひとつは、病院が妊婦さんを積極的に診療するようになるところです。

妊婦さんは身体が大事。
その分、医師も看護師も慎重な対応が求められます。

もともとは妊婦さん相手でも金額が同じ&保険の扱い的にも詳細な取り決めがありませんでした。
ですので、医療機関としては、頑張って仕事をしても実入りが少ないならやりたくない、なんてところもあったとか。
妊婦さんはできるだけ大きな病院や専門の病院に任せようという風潮があったようなんですよね。

ちゃみ

そんな医療機関ばかりではないと思いたいのですが……。

そこで考えられたのが妊婦加算です。
病院側としては加算点数があることで、今まで国に評価されていなかった慎重な対応にお金が発生することになります。

そうなると雑な対応はできませんし、妊婦さんが多く来てくれた方が収益をあげられるようになります。
これにより、病院は妊婦さんをターゲットとした医業経営の方法を考えることができるようになるのです。
すると病院自体が妊婦さんに優しい形態になっていくということが考えられます。

病院の収入アップで患者サービスUPができる

病院もボランティアではないので、ある程度収入を得ないといけません。
経営のためには採算の取れる(悪くいえば儲かる)分野へ投資する必要があります。

簡単な例を挙げてみますね。

ある病院に産婦人科をオープンすると、妊婦加算のおかげで大儲けできそうだとの見込みができたとします。
病院が儲かると、その病院はさらにサービスを増やすことができます
※最新の機械を入れたり有名なお医者さんを呼んだり、スタッフを増やしたり……。

この例がさらにうまくいったら……?

産婦人科が儲かるぞ! と業界に広まると、産婦人科を始める病院が増えます。
すると選択の幅が出たり、競争が始まってさらに良い医療、良い先生のいる病院が出てきます。
今までは車や電車で行かないといけなかったすごいレベルの産婦人科が家の近くにできるかもしれません。

それによって患者さん、この場合は妊婦さんの安全につながることが考えられます。
実際には長期的に見て採算が合うかどうかなどもありますし、こんなにうまく行くとは限らないのですが、あり得る例なんですよ。

医療関係者的には妊婦加算をどう考える?

病院としてはどう考えているのでしょうか?

夫によると、確かに妊婦さんには、普通の患者さん以上に気を付けて対応する必要があるそうです。
X線写真が赤ちゃんに影響がないように配慮し、場合によっては撮影しないことを選ぶ必要があったりするとか。

出す薬や注射にも気を遣い、母体と赤ちゃんの身に危険が及ばないようにしないといけません。
医療機関としてはそれだけの労力(人手や技術)がかかることになります。

ですが、色々と工夫してもお金になるのは決められた範囲の治療行為のみ。

例えば、妊婦さん対応用チェックシートやマニュアルを作って運用したり、妊婦さん向けの特別な椅子を用意したりしたとしても病院側のサービスの範囲内。
これらを準備する費用は通常の初診料・再診料、その他の診療行為からまかなわれていました。

ちゃみ

初診料・再診料ってそういうことに使われていたんだ!
数百円では足りなそう……。

目的は妊婦さんへの配慮を進めるためだったのに

そうした部分を評価するために考えられたのが、妊婦加算。
元々妊婦さん向けに色々とサービスをしていた病院としては、今まで病院が負担していたサービスの費用にあてるお金ができることになります。

でも、この妊婦加算そのものに具体的でない部分が多かったために混乱が起きたという面も。

妊婦加算のあいまいな点
診療科の制限が特になく、どこの病院でも病院ごとの基準で加算できるようになっている。(=専門用語で言えば「施設基準」が設定されていない)
ちなみに、疑義解釈でもその辺りについては触れられていません。

疑義解釈とは、診療報酬(医療価格)改定で決まった内容に不明なところがあった場合、医療機関等から厚生労働省に対して質問を投げて、その後回答として出てくるQ&Aのことです。

妊婦加算についての疑義解釈で出ているのは以下の6点だけ(1つ目のリンク先に5つの質疑応答があります)。
参考診察時には妊婦であるかが不明であったが、後日妊娠していることが判明した場合、遡って妊婦加算を算定することは可能か。
参考異所性妊娠、稽留流産、不全流産、胞状奇胎の患者の場合について、算定可能か。

そのため、妊娠中かどうか関係がなさそうな眼科の治療(コンタクトレンズ)に妊婦加算が算定できてしまったりした始末なんですね。

ちゃみ

病院は診療報酬という決められたルールの下にお金をもらっているので、ルール違反でなければ病院はお金がもらえるんです。
あとから国の機関が審査していますが。

産婦人科メインの病院・クリニックとしては増収なのでプラスかもしれませんが、受診控えがあったら実はもっと大きなマイナスになっている可能性もあります。
妊婦加算関係なく2~3回受診してもらった方が、加算あり1回だけの受診よりも金額があがるので。

また制度ができたことで運用方法の変更もありますし、病院システムのバージョンアップや設定も必要だったりするとか。

ちゃみ

そこにも労力とお金がかかるということですね。
ということで、医療機関としても今回の妊婦加算はメリットばかりではなかったようです。

医療機関側の視点での意見については、こちらのメディ・ウォッチの記事も参考になります。
参考初再診料等の【妊婦加算】、2019年1月1日より当面の間、「凍結」―中医協総会(1) | メディ・ウォッチ | データが拓く新時代医療

妊婦加算の今後の動向に注目

最後に、あくまで今回の決定は「当面の間」凍結ということです。
まだ完全になくなると決まったわけではありません。

少子化対策として、妊婦医療を充実させるためには、どこかから予算を得ないといけないのは変わらないところ。

切迫流産・切迫早産を経て出産を経験した私としては、慎重に対応してもらえるのはとてもありがたいことだと思います。
でも、直接妊婦さんからお金を徴収しないでほしいというのも正直な想いですが(笑)。

次の診療報酬(医療価格)改定は2020年。
色々な議論を尽くして、収まるべきところに収まってほしいこの一件です。
また、次回こそは国民が分かりやすいように周知してほしいです。

今後も妊婦加算の動向には、注目していく必要がありそうですね!

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