切迫早産や切迫流産で入院となると、気になるのが入院費用ですよね。
今まで入院なんてしたことがない人には、どれくらいのお金がかかるのかイメージしづらいと思います。
ただでさえ体のことで不安なのにお金がいくらかかるか分からない漠然とした感じだと、よりいっそう心配になってしまうのでは。
そこで、この記事では、切迫早産や切迫流産の入院費がどれくらいになるかがわかる簡単な計算方法をお伝えします。
ちゃみ
入院費用計算のプロである医療事務が分かりやすく&詳しく解説します。
大きくなりがちな医療費を抑えるテクニックも紹介していますので、ぜひ参考になさってくださいね。
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切迫早産の入院費はどんなものがかかってくるの?
切迫早産や切迫流産の入院費用をざっくり説明すると、3つに分けることができます。
②食事代
③その他(差額ベッド代や保険が利かない医療費)
①医療費(健康保険が利いた自己負担金額)
いわゆる「治療費」というと分かりやすいと思います。
切迫早産の入院だと、24時間の持続点滴や薬代、超音波検査、NSTなどが該当します。
大抵の方は健康保険のおかげで、全体(総医療費)の3割負担で済むようになっています。
ちゃみ
この医療費、細かく見ていくと専門的な話になってややこしいのですが……(入院して何日目まではいくらでそれを超えるといくらになるとか……)。
極端な話、そんな細かい話を知らなくても大丈夫。
実は、この医療費は「ある制度を利用すれば、月にいくらになっても払う限度の額が決まる」からなんです。
そんなうまい話があるの? と思われるかと思いますが、あるんです。
この制度のことを「高額療養費制度」と言います。
高額療養費については後ほど紹介していきますが、要するにいくら高くなっても最終的に支払う医療費は一定金額以下に収まるということ。
ざっくり金額を知りたい場合はこの限度額を知っていれば十分ということになります。
②食事代
食事代は、①の医療費とは別枠扱いなんです。
ほとんどの人が1食460円で、これに該当します。実は健康保険が利いていてこの金額。
ちなみに非課税世帯の人なら210円。生活保護を受けている場合は0円です。
病院ごとに出されるメニューやクオリティは変わりますが、どんな場合でも1食の費用は変わりません。
ちゃみ
さて、例を挙げると1日3食だと1,380円。
30日入院して全部朝昼晩と食べていた場合、41,400円となります。
意外に高いですよね……!
③その他(差額ベッド代や保険が利かない医療費)
これが一番ややこしい!
保険が利かない部分については、病院間で共通のルールがないため、はっきりした金額がわからなくなる原因なのです。
セレブ病院のようにガッツリ取ってくる病院もあれば、パジャマのレンタル料金くらいしか取らない病院もあります。
切迫流産や切迫早産では色々な検査や治療が必要になりますが、通常であれば①医療費の枠内となります。
ですが保険が通らないようなものについては、保険外負担になります。
保険外負担のものの例
- 差額ベッド代(いわゆる個室代、VIPルーム代など)
- 早産マーカーテスト費(顆粒球エラスターゼ、癌胎児性フィブロネクチン)
- 尿検査費
- 膣錠投薬費(クロマイ膣錠など)
- 持続点滴費(点滴の袋、針やチューブ、針を固定するための大きなフィルムなど)
▲本当は健康保険対象だと思われますが、私は取られました…… - シャンプー介助費
- シャワー利用費
- 所定回数を超えた分のNST利用費
ちゃみ
もしかしたら「人によって治療内容はマチマチなので回答できません」と言われるかもしれませんが、きくだけならタダ!
産婦人科病院なら切迫早産の症例も多いはずなので、「月後半に入院して月初めに退院するパターンでいくらぐらい」とかもわかるはず……。
長期入院に役立つ高額療養費制度とは?
先ほど飛ばした「高額療養費」について見ていきましょう。
切迫早産に限った話ではありませんが、入院するとかなりのお金がかかります。
ちなみに切迫早産の場合は治療内容次第ですが、2週間でだいたい10万円前後くらいは行ってしまいます。
でも「高額療養費制度」のおかげで、申請すると限度を超えた分は戻ってくるのです。
さらに、あらかじめ「限度額適用認定証」というものを発行してもらっていると、窓口会計の時点で支払額を抑えられます。
申請方法はもう少し下でご案内します。
ちゃみ
でも月の途中で別の病院に移ったりかかっていた場合は、高額療養費支給申請書を出す必要がありますよ。
では実際にいくらまで支払う必要があるのかについてですが、この金額は収入に応じてひと月の自己負担上限額が変わります。
詳しくは以下の表をご覧ください。
▼見えない部分はスクロールで動かして表示できます。
適用区分 | 所得区分 | 高額医療費のひと月の自己負担上限額 | 多数該当(※) |
---|---|---|---|
ア | 年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
イ | 年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
ウ | 年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
エ | ~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 |
57,600円 | 44,400円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 | 24,600円 |
参考高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保険局(PDF)
※多数該当:過去12ヶ月以内に3回以上、高額医療費の上限額に達した場合、4回目から「多数回」該当となり、自己負担上限額が下がる仕組みです。
切迫早産入院の場合でも、長期化したら対象となる可能性がありますよ。
所得は、手取り額ではなくて、額面金額なのでご注意ください。
働いている方はご自身の年収、専業主婦の場合は旦那さんの年収になります。
この表をもとに、どの所得区分に該当するか確認してみてください。
その区分に書いてある計算式で、あなたの自己負担上限額が分かります。
例として、
- 「区分ウ」
- 「①医療費(健康保険が利いた自己負担金額)が10万円(総医療費が33万円)」
先ほども書きましたが、2週間入院でだいたい10万円(総医療費が33万円)前後くらいの医療費がかかるので、これをもとにしています。
=80,100+(330,000-267,000)×0.01
=80,100+630
=80,730
よって、80,730円が月の自己負担上限額となります。
これで2万円弱、安く済ませることができるというわけ!
区分ア・イ・ウの総医療費が増えるごとに支払金額は増えてしまいます。
が、1万円で100円、10万円で1000円と、よほどスゴイ治療を受けない限りは変わらないのでご安心ください。
ざっくり数字を出すだけならば、80,100円で計算してしまってもそこまで変わりません。
「高額療養費制度」・「限度額適用認定証」の申請手続き方法
こんなに節約できる高額療養費制度ですが、自動的に適用されるのではなく、申請が必要です。
今後申請の方法についてはまとめていく予定ですが、まだ出来ていません……。
なので、神奈川県医療従事者健保の説明が比較的わかりやすかったのでこちらをご覧ください。
Check健康保険の給付
※申請書はそれぞれの健保のものを使いましょうね。
窓口会計の時点で支払額を抑えられる「限度額適用認定証」の手続き方法は、当ブログのこちらの記事をご覧ください。
限度額適用認定証の申請方法と注意点を分かりやすく説明!出産前妊婦は申請しよう
切迫早産の入院費を計算してみよう
さて、入院費用は以下の3つで成り立っていることがわかりました。
②食事代
③その他(差額ベッド代や保険が利かない医療費)
- 切迫早産で3週間入院予定
- 大部屋で部屋代なし
- 高額療養費は区分ウ
- その他はパジャマや日用品のレンタル1日500円
- 保険が利かない医療費1万円
②食事代は460円×3食×21日で28,980円。
③その他はレンタル500円×21日で10,500円+保険が利かない医療費10,000円
合計は、129,580円、約13万円くらいとなりました。
注意点としては、高額療養費が月ごとの適用となるため、月をまたぐ際はもっと高くなる場合があるということ。
入院した月の医療費が7万円、翌月7万円で退院となった場合、医療費の部分が合計14万円になってしまいます。
ちゃみ
とはいえ最悪でも月8万円、2ヶ月で16万円を超えることはないので、その点は安心でした。
私が入院した時のリアルな入院費はこちら!
ここでは、以下のかたちで入院となった私の入院費を1ヶ月ごとに公開します。
- 切迫流産で月をまたいで15日間入院
- 切迫早産で3ヶ月をまたいで55日間入院
切迫流産で月をまたいで15日間入院したときの入院費
切迫流産で初回入院したときの請求金額です。
そうです、私は切迫流産で退院した後に、再度入院しているんです……。
診療については、毎日のNSTがなかっただけで、他の内容は同じです。
- 妊娠20週から22週に入院(15日間)
- 産婦人科病院に入院
- 大部屋(4人部屋)
- 3食食事付き
- 24時間の点滴
- 毎日の内診と膣洗浄などの処置
入院日:平成30年1月25日~平成30年1月31日
①医療費 | 29,350円 |
---|---|
②食事代 | 7,200円 |
③その他 | 19,680円 |
合計 | 56,230円 |
入院日:平成30年2月1日~平成30年2月8日(退院日)
①医療費 | 31,420円 |
---|---|
②食事代 | 8,280円 |
③その他 | 17,400円 |
合計 | 57,100円 |
合計金額:113,330円
切迫早産で3ヶ月をまたいで55日間入院したときの入院費
このときは以下の状況で入院しています。
- 27週から35週に入院(55日間)
- 産婦人科病院に入院
- 大部屋(4人部屋)
- 3食食事付き
- 24時間の点滴
- 毎日の内診と膣洗浄などの処置
- 毎日のNST検査(40分)
入院日:平成30年3月19日~平成30年3月31日
①医療費 | 52,470円 |
---|---|
②食事代 | 13,680円 |
③その他 | 44,500円 |
合計 | 110,650円 |
ちゃみ
入院日:平成30年4月1日~平成30年4月30日
①医療費 | 81,035円 |
---|---|
②食事代 | 41,400円 |
③その他 | 103,640円 |
合計 | 226,075円 |
おしもに痒みがあり、キンダベート軟膏とレスタミンコーワクリームを処方してもらっています。
この期間に子宮頸管ポリープ切除手術を受けました。
手術の他にも、病理診断のための組織標本作製や病理判断料などがかかっています。
子宮頸管ポリープを手術で取りました。妊娠中のトラブルがこれで解決!
入院日:平成30年5月1日~平成30年5月12日(退院日)
①医療費 | 37,590円 |
---|---|
②食事代 | 15,640円 |
③その他 | 37,840円 |
合計 | 91,070円 |
貧血のためのフェロミア錠・ハイシー顆粒、便秘のための酸化マグネシウム錠、退院時に家で内服する用のウテメリン錠の投薬料がかかっています。
合計金額:427,795円
というわけで、15日間+55日間の計70日間の入院費は、541,125円もかかっていることになります。
ちゃみ
月収の2倍くらいですよ(笑)。
入院中はいくらかかるか分からず、払えないのではないかとヒヤヒヤしていました。
貯金があったので何とかなりましたが……。
これでも4月の金額は限度額認定証のおかげで、ざっくり25,000円以上軽減しているんですよ。
これがなければ、家計が相当苦しいことになるところでした。
他の人より負担額が大きくなっているところは、点滴関係です。
長い間点滴をしていると、その部分の血管がもろくなってしまうそう。
私の病院では、通常は1週間ごとに点滴針の差し替えをすることになっていました。
でも、その前に腕が(血管が)腫れてきてしまうことが多く、だいたい3日くらいで差し替えていました。
1日で差し替えたこともあります。
なので、点滴の針やサージフィルムといったところにはお金がかかっています。
ちゃみ
そのたびに新しい針を使ったのですが、それがカウントされているのかは数えられず、ちょっと分かりません。
これも気になる方は看護師さんに聞いてみてくださいね。
切迫早産の医療費(入院費)を抑えるテクニックあれこれ
さて、このように入院となると莫大なお金がかかってきます。
こんな額払えない、少しでも安く抑えたい……と考えたとき、以下のような方法が考えられると思います。
医療保険&生命保険に加入して、大きな出費に備える
切迫流産・切迫早産は、民間の医療保険の給付金の対象となります。
私も給付金がおりたおかげで、長期入院費がプラスになりました!
参考までに、入院でおりた給付金額は1,080,000円です。
全期間の入院費が541,125円。
さらに診断書作成代として5,000円×2回分。
これを給付金で戻ってきた分と合わせると、528,875円も黒字になりました!
細かい内訳はこちらをご覧くださいね。
切迫早産のあと医療保険で戻ってきた額を公開。なんと倍返しになりました!
実際には入院に必要なグッズを買ったり、色々と出費もあったのですが、それでも大きなリターンですよね。
妊娠期間中は何が起こるか予測できないので、万が一のためにも医療保険で備えておくことは大切だと思います。
また、他に医療費を削るには、次のようなことも考えられます。
室料を取らない病室に入院する
個室は1日当たりの追加料金を取られるので、長期入院すると馬鹿になりません。
ちなみに、私のかかりつけ病院では、1日当たり10,000円前後の差額ベッド代がかかるようです。
レンタル品を自分で持ち込む
パジャマやタオルなどをレンタルすると有料です。
こちらも長く使うと何気に高額。
仮に1日500円でも1ヶ月で15,000円になります。
入院期間が長くなりそうなら、自前で用意する方が結果的に安上がりです。
なるべく保険外負担となる検査等を少なくしてもらえないか相談する
できるかどうかは病院次第かと思いますが、なるべく保険の範囲内で治療してほしい旨を相談すると良いかもしれません。
厳密に言えば、食費などを除けば、基本的に保険外の治療は患者側の同意がないとできません。
そのため、前もって保険外の治療に関しては相談しておくと、うまく対応してくれる可能性があります。
理不尽な請求があった場合は、お近くの厚生局に相談すると良いでしょう。
切迫早産の入院費をあらかじめ計算して備えよう
以上、切迫早産や切迫流産の入院費の計算方法と医療費を抑えるテクニックをお伝えしてきました。
計算方法をざっくりおさらいすると、
- 入院費用は、①医療費(健康保険が利いた自己負担金額)・②食事代・③その他(差額ベッド代や保険が利かない医療費)の3つで成り立っている。
- ①医療費は、最悪を想定して高額療養費制度の上限額を超えることはない。
- ②食事代は、だいたいの人が1食460円。
- ③その他は、治療内容やサービスでかかってくることもあるので、あらかじめ病院で確認しておく。
高額療養費制度(限度額適用認定証)の申請をしておくことも忘れずに。
入院が長期化すると、どうしても医療費が大きくなりがち。
ですが、だいたいどのくらいかかるのか分かっているだけでも事前に準備しておくことができると思います。
あくまで目安の計算なので、実際の金額は大きく変わることもあります。
その点はご了承くださいね。
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